#1 情けない日のサンザータンメンと推し活

本格的に仕事が始まって少し日が経った。

とにかく普通にしんどい。日々、「え、そんなことできないのだが」みたいなことを先輩に迷惑かけながら報連相しながら、なんとか乗り越えている。

一応存在する昼休み1時間、というけれどまともにランチタイムを楽しむことなどここまで全然ない。12時になりました、お洒落なカフェでパスタランチをみんなで食べよう♡みたいなことは起きない。飯モチベがただでさえ低い私は、コンビニで買ったおにぎりやサンドイッチをバクバク頬張ったら深呼吸してまたデスクに戻る。というか、弊社はフリーアドレスだし、デスクで食事してもいい文化なのでPC広げたまま、コンビニ飯を食べているのか食べていないのか、みたいな状況になることもしばしば。

そんな忙しい、慣れない日々(達成感や喜びももちろんある)を過ごしているので、いろいろと心のバランスを取るために、早めに対策を講じよう、好きなことを好きにしとこう、ということで、こんなところに文章を書いて恥ずかしげもなく掲載しているのです。

今週は苦い顔して、時に変なテンションになりながらトライアンドエラーでPCと睨めっこしたけれど、望む成果もアウトプットも出せず、「難しいことを頼んだので」と言って微笑を浮かべてくれる先輩に大いなる申し訳なさを感じながら、ああ頑張りたかったのになあという気持ちで巨大なオフィスビルを出る。

成果を出せない新入社員も当然夜になればお腹は空くわけで、予定のない金曜の夜、私はせめてイイことをしようと思い、永田町で電車を降りた。

地下鉄の駅にサラリーマンたちが吸引されるように流れ込んでくる。その反対側、上りエレベーターで私は地上に出る。4番出口から歩いて2分、私の今宵の目的地は「赤坂四川飯店」。

このお店なぜ知っているかというと、私の大好きなフードエッセイスト平野紗希子さんの連載で、これまた私が大好きな起業家の申真衣さんがこのお店を紹介していらっしゃったのだ。推しの共演、いつかこのお店に食べに行こう!と思っていた。それを情けない1週間の締めである今日にすることにした。

平野紗希子さんは名著『生まれたときからアルデンテ』を読んで大ファンになり、ポッドキャストにSNSにいつも追いかけている。『ショートケーキは背中から』の出版が記憶に新しいが、『生まれたときからアルデンテ』はやはり原点にして頂点で、どのくらい好きかというと文庫版アルデンテを肌身離さず持ち歩いていたレベルだ。肌身離さずというのは外出の際はもちろん、家の中でも、トイレやらお風呂やらにまでいつもお供してもらっていたのだ。何回読んだら気が済むねん、レベルで読んでいた。平野さんの文章は、いつ読んだっていいんだ。というか開いたページこそ、今目に留めるべきページなのだ。そんなこんなで愛読しているので、半年ほど前、自宅にて犬に表紙をビリビリにされてしまった。すげえしょんぼり悲しかった。(あの素晴らしき表紙があああ)

そしてそして起業家の申真衣さん。このお方もそれはそれは大好きで、インスタが更新されると絶対見ている。申さん周りのビジネスニュースもいつも早めにキャッチしている。見逃すまい‼︎という気持ちで見ている。申さんが登壇するイベントがあれば行ってそのお姿を拝んでもみた。一度行ったイベントで申さんが私の1m前の椅子に着席されるタイミングがあって、大変な嬉しさであった。バキバキのバックグラウンドからは予想もつかない柔和な雰囲気を纏った方である。

さてさて、永田町の中華屋に戻ろう。永田町では参議院選挙直前で選挙カーが叫んでいる。私はサンザータンメンに夢中で聞こえない。期日前投票行ったんだ私。だからもうメンに集中してもいいんだ。1週間曲がりなりにも頑張ったんだ。だから酸っぱい麺をすすって、揚げたての春巻きを食べていいんだ私。

辛い酸っぱい美味いを摂取して体にエネルギーを取り戻した私は、店を出た。他のお客さんたちがコース料理に舌鼓を打っている中、麺と春巻きだけ楽しんでごめんなさい、でも私の目的はこれだったのです。

店を出たあと、気が向いて東京駅まで歩くことにした。夜風が気持ちよかったのだ。歩いていると妹から電話がかかってきた。他愛もないことを話しながらゲラゲラ笑う。

そうかそうか、へー、そうなんだ。私はね、今皇居の周りを歩いているんだよ。ここからの景色ほんと綺麗だよ。

ねえねえ、あなたもさ、大学卒業したら東京おいでよ。来てみてさ、水が合わなければまた関西帰ればいいやん。お姉ちゃんね、東京結構好きなんよ。私は、東京好きなんよ。



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#2 いくつになっても青いわ痛いわ